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パソコン世代の 子供たち 中西 博(Sense of Wonder Technologies) ●学生時代にパーソナル・コンピュータ(以下パソコン)が登場したのが今の30代の人た ち、子供の頃にはすでに世の中にパソコンがあったのが今の20代の人たちで、これらの 世代を「パソコン世代」というとすると、パソコン世代の子供たちはおなかの中にいる時 からパソコン経験を始めている訳です。 ●かく言う自宅にも何台かのパソコンがあります。保育所通いの長男を除き、妻、小学3年 生の長女、それに私はそれぞれ自分専用のパソコンを持ち、すべてネットワークで結ばれ ています。また、どのパソコンからでもインターネットを利用することができ、家族全員 がメールアドレスを持っています。 ●このような環境ですので、子供たち(特に長女)は3歳ぐらいから、かってにマウスの操 作を覚え、ペイントソフトやCD-ROMで遊ぶようになりました。特に操作を教えた訳 でもなく、私が使っているのを横(とか膝の上)で見ていて、かってに覚えてしまったよ うです。 ●日々の生活の中で、子供が自然にコンピュータ・リテラシを身につけるということに関し て、一つ重要なことに気がつきました。それは、「やり方がわからず困っていても、こち らから絶対に助けない」という大原則です。質問にはヒントのみ与えます。その理由は、 本来の目的を達するための試行錯誤の中で、全く関連のない色々なことを発見し、それら が複雑に関連する枝葉の知識となってゆき、コンピュータシステムを感覚で理解する土台 となるからです。 ●普段使っているのとは違う機種のパソコンを借りてきた時のことです。案の定、子供たち は興味深げにしていましたので、ペイントソフトを起動してやり、それを自由に触らせる ことにしました(システムの設定を変えられると困るからです)。しばらく使っていて飽 きたのか「どうやってスイッチ切るの?」と聞いてきます。普段のパソコンでは「特別メ ニューからシステム終了」を選択することは知っているのですが、勝手が違うわけです。 ただ、私も忙しかったので「スタートメニューから終了!」と、つっけんどんに返事をし てしまったのですが、なんと何ら問題なくシステムを終了させてしまったのです。これは とても意外で、またうれしいことでもありました。 ●小学生の彼女が興味を持っていることは、おかあさんの仕事の都合で、春からフランスに 留学している親友とインターネットで文通することです。現在は手紙(物理メールという) でのやりとりが主ですが、おかあさんのノートパソコンにはモデムが内蔵されており、職 場も教育関連機関でインターネットにも接続されているらしいということなので、彼女ら には頑張ってメールを開通させてほしいものです(お互いの写真も簡単に送れるしねっ! )。 ●実は彼女は「パソコンよりもPDAが好き」派らしいです。PDAとは高機能な電子手帳 のことです。理由は、「キーボードやマウスではなくペンですべての操作ができる」「友 達の家にもってゆける」「電車の中でも使える」「友達のメッセージを録音できる」「ペ ンでごしごしすると書いたものが消えるのがおもしろい」ということらしいです。現在は 米国製のPDAを数機種使っていますが、日本語が使えないのがすこし不満です。 ●それで、日本製の電子手帳(子供用も含めて)を調べまわったのですが、どれも操作が煩 雑すぎて大人の私にもよくわかりません。また、子供用電子手帳は本当に「子供だまし」 の域をでないものばかりでがっかりしました。日本のメーカーさん、健全なるコンピュー タ・リテラシの会得を念頭において、わかりやすく直感的操作が可能なPDAやパソコン OSを作ってください。協力しますよ! 日本経済新聞社主催「女性のためのネットワーキングフェア'96」ガイドブックより |
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